ARMORED CORE 6 幻覚の強化人間C4-621

先天的性質

強い死への恐怖心

死への恐怖心、その状況から逃れた時の安堵心が人一倍強く、それが無意識化における「自分が生命の危機に瀕した状況からの改善」手段の適切な選択にも繋がっている。
無論戦場に感じるストレスも尋常ではないが、状況変容の安堵感である程度帳尻が合うこと、また後天的なものである「他者がこのストレスを味わうくらいなら、自分が味わった方がよい」という思考で(素材と再手術後は)乗り切っている。

殺人への忌避感の欠如

大多数の人間が殺人をトラウマ体験として認識し、適切なケアを受けなければPTSDすら発症するのに対し。C4-621は殺人をストレスとして認識しない(なお高揚感も覚えないためコンバット・ハイにも陥らない)。
素材は学生時代に正当防衛で殺人を犯す(それも、逆手に持ったナイフで正面から相手の心臓を刺すという精神的負荷が高いやり方で)ものの、カウンセリングを必要とせず、殺人がファンタジーでなくなってもなお「人が人を殺そうとしないのは倫理によるもの」という認識は変わらなった。
ただ自分の危うさを認識した素材は「この性質を何とかして向社会的活動に繫げなければ」という思いから軍人を、それも前線指揮官を志す(前線に立って自分に「死の危険」という状況回避衝動を生じさせないと、忌避感の欠如により殺戮行為に歯止めがかからなくなるという懸念があるため)。
再手術後はこの性質を洗脳によるもの(後天的なもの)として認識しているが、戦場および前線に立つ理由は素材と大差ない。

恋愛的傾向(グレーロマンティック)

「恋愛は人生の主目的ではないし、自分から求める気はないが、もし人生に一度くらいの恋に落ちたらしっかり恋愛したい」という傾向。また「恋愛的魅力=性的魅力=Parental Attraction」ともなっているため、恋愛的魅力とそれ以外の魅力の自己判別が容易。
素材は学生時代に伴侶となる相手に一目惚れし、その相手にしか恋愛的魅力および性的魅力を感じないことを当然の事として受け止めてきた。
再手術で消化器系を再建し、脳腸相関により人間的願望を再獲得したルビコンの解放者エンディング後のC4-621も、生殖器系が無い事に「万が一恋をして、相手と良い仲になったときに、相手に全身を見せる事が出来ない」という不安を抱くようになってしまう。
そして「いつ恋に落ちてもよい」という安堵感を得るために、生殖器系の再建を行った。

素材の出自

本名:レスリー・ウィングフィールド(Leslie Wingfield)
上流家庭で育ち、封鎖機構の士官学校を出て、良き伴侶にも恵まれ、子供が出来た事が判明したばかりの23歳。
しかし「アイランド・フォーの動乱」に巻き込まれ、執行機体から引きずり出されながらも、守るべき現地住民への抵抗を続けていたが、最後の弾を「部下の尊厳を守るため」に使ったところで「事切れて」しまう。

強化人間施術の結果

目標達成度

併発症

アーキバスによる検品結果

「肉体組織の障害を防止・報告出来ないと管理の手間が増える」「通常モード時の陳述記憶が出来ないとコミュニケーションに支障が出る」として、引き取りを拒否

冷凍機関中の処理

強化人間C4-621は稀血であり、臓器に需要があったため、下記の臓器が移植用として取り出された。

摘出パーツ

  • 生殖器系:全摘
  • 消化器系:食道~S字結腸まで(直腸は坐薬での投薬用に残された)、および膵臓
  • 泌尿器系:全摘

これに伴いC4-621は内臓覚の大半を喪失し、それが内臓覚を司る島皮質の機能低下を促したことから、痛覚、情動、報酬系の機能低下にも繋がり、C4-621がこれらの機能を完全に回復させるには内臓(特に消化器系)の再建が必須となった。

また、上記摘出後の生命維持のために、下記のパーツがC4-621に追加された。

追加パーツ

  • 皮下埋め込み型中心静脈アクセスポート:消化器系が失われた時の栄養摂取手段である中心静脈栄養を行うため、右前胸の皮下に追加
  • 胆道ドレナージ用カテーテル:十二指腸の摘出により胆汁の出口が無くなったため、体外排出を行うために右肋間の皮膚から肝臓を通し胆管までチューブを挿入
  • 腹膜透析用カテーテル:泌尿器系に代わる血液濾過機構として血液透析、および腹膜透析を採用。腹腔内に透析液を注入するチューブを下腹部皮膚から「膀胱があった場所と直腸の間の隙間」まで挿入

また、血液透析を行うために自己血管シャント手術(太い血管を作るために左下腕部の橈骨動脈と橈側皮静脈を縫い合わせる)も行われた。

ハンドラー・ウォルターによる購入後

10年間冷凍保存されていたものの、起動直後のC4-621の寒冷障害は霜焼け程度であり、凍傷部位の除去などは行われる事なく引き渡された。
その後、ハンドラー・ウォルターの手により、C4-621には下記の機能が追加された。

追加アプリケーション

C4-621に肉体組織の異常検知機能を付与するために、民生品である「健康管理アプリケーション」が電脳部分に追加された(異常検知用ナノマシンの投与、第4世代強化人間の人工視覚へのHUD反映など短時間の施術も行われ、月額使用料の支払い義務がウォルターに生じた)。

そして、手術痕(炎症部位)の治療、日常生活動作が可能な肉体機能の回復、医療処置技能の獲得、ACでの戦闘技能訓練、ルビコンでの生活に必要な知識の取得など、ルビコンで単身活動する上で必要なものを一通り与えた上で、ウォルターはC4-621をルビコンに送り込んだ。

密航

ルビコンに密航を行ったC4-621は単身で活動し、集積コーラル到達までウォルターを含めた誰とも顔を合わせる事は無かった。
これにはウォルターの「(企業、ルビコニアン共に敵対する)コーラル焼却という使命を果たすまでは、身を潜めていないといけない」という事情はもちろん、(道筋は621に作ってもらう必要はあれど)その使命に621を巻き込むわけにはいかない(自分の所在を隠していれば621が自分の所業に関わる事はできない)という思い、そして621のリハビリ期間中、記憶障害が回復しなかった事から、洗脳による忠誠心から、管理者である自分に「ウォルターの事を覚えていないことを、忘れてしまうことを詫びては消えていく」かつての621の姿を思うと、顔を合わせるのは―—621の感情鈍麻が寛解したのは一時だけで、621が再び感情を失った今は自分だけが辛いという思いもあった。

しかしC4-621の施術による洗脳、および感情鈍麻は既に寛解しており、(死への恐怖心以外を失った)感情鈍麻については「自分は救ってくれたウォルターに何も返せていない」「ウォルターが自分に対価として要求しているのはルビコンでのコーラル発見」「自分がウォルターに何かを要求するのは対価を払ってからだ」「その対価を払うために余計なものは、感情は切り捨てないと」「自分が詫びの気持ちを示すと、かえってウォルターを気遣わせてしまうようだし」とウォルターを慕っては、無意識にこの気持ちを刻み込み、消えていった通常モードのC4-621の自己実現の結果に過ぎない。

「ルビコンでコーラルを発見して、再手術をしてウォルターに迷惑をかけない……いやウォルターのお世話が出来る体になって、ようやく私はウォルターに『貴方を父と呼んでいいですか』と聞くことが出来る」その目的すら、ミッションの達成という短期目標の繰り返しには不要として蓋をして、C4-621はルビコンに降り立った。

集積コーラル到達まで

C4-621の記憶障害については「通常モード中の記憶のうち、エアとのやりとりは一部想起可能なものとして残っているも、他の陳述記憶については想起改善が見られない」が、「企業と解放戦線とでは解放戦線を優先する」という自主性が見られるようになる。

これは「封鎖惑星の住民を案じていた」素材の影響によるもので、「解放戦線ルートを走ると、(無意識下で)ウォルターへの思慕よりルビコニアンへの愛着が勝ってしまい、ルビコンの解放者EDに移行する」事に繋がる(逆に解放戦線ルートが解放されない1周目だと、「友人や、多くの見知らぬ人々を犠牲にしても」ウォルターの遺志を継ぎたいという思いが勝ってしまいレイヴンの火EDに)(なおこのC4-621は「自らを弱者とみなし、『普通の人間』への嫉妬心を抱き、現行人類の変容を促すコーラルリリースに協力する」心理を持たないため、賽は投げられたEDには移行しない)。

また、C4-621はウォルターの命令通りにセルフメンテナンスを心がけてはいたものの透析による血液濾過には限界があり、集積コーラル到達時点では肝硬変や動脈硬化や腹膜炎等を患っていた。

再教育センター

ここでC4-621の管理者権限がウォルターからスネイルに移行すると共に、動脈硬化の治療として経皮的動脈形成術、下肢動脈バイパス術等が行われると共に下記のパーツが追加された。

追加パーツ

  • 合成高分子材料製人工血管:上記施術で使用。C4-621の生身の血管は性能低下が著しいので、血栓を作りづらいこの血管を採用
  • 埋め込み式人工腎臓&尿道ストーマ:ヘモフィルター。外腸骨静脈、内腸骨動脈に接続し腹膜透析では濾過しづらい中分子以上の老廃物を濾過。そしてろ液を対外排出するためにチューブの出口を左下腹部に増設

だが再教育センターでは、投薬や衛生面での配慮の不足(投獄中の監視不足から、直腸粘膜を通じ感染症に感染させられた事も)によって、C4-621の状態は悪化。

またC4-621の管理者権限があり、絶対服従させられるはずのスネイルも「質問には素直に答える(薬によって朦朧とした意識の中でも「ウォルターは大した情報を自分に与えていないから答えても問題ない」と判断した事によるもの)が、抑うつが酷く戦場に放り込んで戦闘モードに移行させても行動を起こさない(投薬のせいで死への恐怖より、アーキバスの駒として戦う事への嫌悪感が勝ってしまった)のに、フロイトとの模擬戦には応じる(死の恐怖から逃れるために他者を犠牲にしてきた自分と、戦いを遊びだと考えるフロイトとの相容れなさから、C4-621はフロイトに嫌悪感を抱き、それにより戦闘意欲が生じた事によるもの。なおスネイルに抱いている感情は「殺意」であるため、薬で感情を制御させられた状態ではその域に達する事が出来ず、結果としてスネイルへの反抗意識が無いように見える)」事に頭を抱えるように。

そうしてスネイルの心理状態が「上層部は駄犬の再教育を望んでいるが、いいかげん事故に見せかけて駄犬の排除を行いたい」に移行したのを見たオキーフ(オールマインドが目をつけているだろうC4-621を泳がせて、ザイレムの何処かにいるだろうオールマインドの所在を掴みたい人)が「敢えてC4-621を脱走させ、下水道で発見したジャンク機体で応戦を始めたところを撃墜する」事を提案する。
無論「そのジャンク機体はRadが改修したもの」や、「技研都市に救援要請用のビーコンがある」事、そして「エアがウォルターの遺したメッセージを再生すれば、管理者アカウントがC4-621のアカウントと統合され、スネイルはC4-621に対する管理者権限を失う」事は伏せた上で(スネイルに詰められたところで知らぬ存ぜぬで通せる案件)。

脱出

そうしてオキーフの手により「意識を鮮明にするための覚醒剤、および一時的な体調回復に繋がる薬物の投与」「下水の物質から身を守るためのパイロットスーツの装着」といった安全措置を施された上で、再教育センターの下水道に放り込まれたC4-621。

なおこの時点でのC4-621の状態は下記の通り。

脱出時点でのC4-621の状態

  • 病名:肝硬変、閉塞性動脈硬化症、慢性腹膜炎、レイノー症候群
  • 外見への影響:黄疸、口角炎、くも状血管拡張、ばち状指先、女性化乳房(薬剤の副作用)、皮膚潰瘍、皮膚びらん、趾壊疽(複数指)、表皮の変色(レイノー症候群)
  • 脳閉塞を防止するために抗凝固薬を服用せざるを得ず、出血時の血液凝固が出来ない

もはや再手術(泌尿器系、消化器系の再建)を行わないと、血行不良により四肢の壊疽が進行するなどして死は免れないという状況。

無人洋上都市掌握

無意識下とはいえ「ウォルターを父と呼ぶ」という目的が失われたC4-621は、カーラに言われるがまま作戦行動に従事。
しかしその後、カーラはウォルターが用意していた「星外での再手術の手筈」「C4-621の素材となった者の身元(「特務機体撃破」選択時のみ。戦型から交戦相手が「アイランド・フォーの動乱で第4世代強化人間にされた同僚」だと感づいた特務上尉は、殉死間際に戦闘ログの照会を依頼。その通信を聞いていたウォルターは621の身元判明に繋がるやもとカーラに照会結果のハッキングを依頼した。照会結果は何人かに絞り込まれただけだったが、ウォルター達は621の外見も知ることから一人に絞り込むことが出来た)」について621に伝えた。

同時に「ザイレムを使い、ルビコンを焼き払う」という計画を聞いたC4-621は(カーラ達の計画を、ウォルターの遺志を遂行したら、罪悪感故に自分は自害せざるを得ないという予感から)ウォルターが自分のために残してくれた情報に何の感慨も湧かなかったが、エアに別の道を示された事でそれは「破棄すべき情報(自らの記憶障害故、その痕跡すら忘れてしまう情報)」となった。

ザイレム撃墜

記憶障害により自分が何故この道を選んだかも分からないまま、瀕死の体を動かしてザイレムを撃墜するC4-621。しかしHALとの交戦中に(C4-621となってからのもののみだが)記憶障害が寛解。
そしてHALへの応戦とともに、思い出すと共に叶わない夢となった、自分がルビコンに来た理由を、再手術後にやりたかった事を破壊していった。

そしてウォルターの最期の言葉でC4-621は、自分がウォルターの遺志に背いたのは「エアが好きだったから、好きな友人の願いに応えたかったから」だと気づく。そして「ラスティとも友人になりたかった」という願望にも気づくが、この時はまだ認知止まりだった。

HALの撃墜後、C4-621は解放戦線が再教育センターにアプローチする依頼が無いか検索。このような形で「自分が再教育を受ける光景が、ウォルターへの再教育に利用された時、自分はウォルターを『知らない人を見る目』で見てしまった」というウォルターへの不義理に対し何らか……そう、何らかとしか表現できない、この薄い情動の蹴りをつけたいという思い故に。
その願いを叶えた後、(今までは「延命によりエアの目的達成を支援する」以外に異議が見いだせなかっただろう)再手術を受けたいとC4-621は思った。ウォルターへの数々の不義理に対し、きちんと「痛み」を感じられるように。